音の悩みを解決!「快音」生活のススメ
【第11回】
住まいづくりのアイディア帖
- このひとに聞きました
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快音のスペシャリスト
アップルホーム
野田 大輔さん
気にしたくないけど気になる住まいの音。自分がたててしまった音に隣からクレームをいただいてしまったり、逆によそからの迷惑音がストレスだったり、音に関する悩みは十人十色です。
この悩みは意外に重大で、ご近所との人間関係にまでヒビが入ってしまうことも多々あります。
はたまた音楽好き、映画好きの趣味人にとっては、いかに自分が好きな音楽や映画を人様に迷惑をかけず、邪魔されず、満足いく音量・音質で楽しめるか、というのは重要な課題だったりもします。
それぞれがほどよい音の中で暮らす「快音生活」を目指し、住まいづくりの段階でできる工夫をちょっとだけ見ていきましょう。
音をさえぎりたい人、逆に作りたい人・堪能したい人、それぞれの目的に適した方法があります。
さえぎりたい人には、こんなお悩みがありませんか?
- ①音が響きすぎてテレビの声が聞き取りにくい・・・
- ②物音、外の音で目が覚める
- ③トイレの音がもれるのでお客さんを呼びたくない
- ④風などでドアがバタン!と大きな音で閉まり、ドキッとする
- ⑤上の階から走り回る音が聞こえてくる
- ⑥屋根に当たる雨音が室内まで聞こえる
どれもよくありそうな、音に関するお悩み。どうにもしようがないことと、諦めないでください。それぞれにちゃんと最適な解決方法があるのです。
逆に音を作り出す人にとって、心行くまでピアノを弾きたい、楽器を弾きたい、ホームシアターがほしいといった願望は尽きることがありません。そんな部屋を持つことを人生の目標にしているというような人も、決して少なくないのです。
では、それぞれが自分たちの「快音」を得るために、一体どんなことができるのでしょう。ここでは、それぞれの具体的な方法を見ていきましょう。
その前に・・・
音の基礎知識
1に遮音、2に吸音、3に音響コントロール
- 遮音
- 比較的快適で静かに生活できるのは、40dB~50dB程度まで。それ以上の音がまわりにあるときは、適切な遮音構造で音をさえぎっておきましょう。
防音は予想以上にお金がかかることも事実。一般の建物の遮音性を5dB(約1.4倍)あげようとすると、その費用は約2倍になると言われています。したがって、10dB(2倍)の遮音性を得るには4倍もの費用がかかります。
- 吸音
- 遮音だけを高めると、部屋中に音がびんびんひびいてしまい、長時間で生理的な苦痛を感じるようになります。そこで必要なのが吸音。遮断するだけでなく、音のクッションの役割を果たす性能とバランスが大切です。
吸音は、音の反射と合わせ、残響時間のコントロールにも欠かせない性能です。
- 音響コントロール
- 音を楽しみたい人に大切な効果。音響効果を表す基準は「残響時間」。部屋の中に音を充満させたあと、音を止めて60dB減衰するのに要する時間のことです。
部屋の用途や大きさによって、最適とされる残響時間は変わります。残響時間が長いほど、響きが多く、短いほど響きが少ない状態を表します。
様々な防音・遮音・音響部材を組み合わせて快音生活
音響用インテリア壁材

オトカベ
ホームシアターや家族で楽しむリビングシアター、ピアノ室向き。

オトピタ
壁に貼り付けるタイプ。配置替えが簡単
遮音マット・シート

フローリングの下に敷きこむだけで、衝撃音やテレビ音が階下に伝わるのを軽減。木造住宅の2階部分などにおすすめです。
天井・天井下地材

ホームシアターや家族で楽しむリビングシアター、ピアノ室向き。音の響きを楽しみながら、健康で快適な空間を作り出す天井材。
ドア

ハイレベルな仕様からカラオケ用まで豊富な種類で様々な防音プランに応えます。
防音施工部材

①吸音ウール、②軽鉄下地用防振ゴム、③遮音隙間充填材、④防振ゴム壁など、防音効果をより高めるための施工部材があります。
遮音パネル

高い遮音性能を発揮するクロス仕上げ対応の壁・天井用遮音下地材。
防振ベース

ピアノなどの下に敷きこむだけで階下への音漏れを、約30%軽減します。
防音ダクト

AVルームや防音室などにおすすめ。大風量・低騒音設計の防音換気システムです。
床材

遮音床パネル16、遮音床ボード09など。木造住宅で階下の軽量床衝撃音を約30%軽減できます。
音を防ぐことが大切か、楽しむことが大切かは、個々人で違います。また、部屋の用途によっても違うかもしれません。
音を防ぐことが大事な人が家を建てる前に知っておきたいことは、自分たちの気になる音がどんなものなのかということ。意外にも半分は、隣人や隣家からの音よりも、自分の家の中で家族や自分が立てる音が気になっているという調査結果があります(大建工業調査)。
音が気になるのは、吸音性のある内装仕上げ材が減り、生活音が反響しやすくなっているという現代の住宅事情にも原因があります。
そのため、育児の場では赤ちゃんの泣き声でお母さんがストレスを感じやすくなってしまうということもあるのです。音の反響を抑える施工をすることで、そのストレスを低減する効果も期待できます。
目に見えない「音」が、私たちの生活に与える影響は想像以上です。住まい作りの際は、自分たちが求める「快音」を知るのはもちろんのこと、その家の建つ場所によってもどのような施工が必要なのか、しっかりと考えたほうがよさそうですね。