雨漏りから建物を守る
ゆううつな梅雨の季節。すまいにとっても雨は苦手な存在。なにしろ水に100%強い建築材料なんて存在しないのですから。家を急速に劣化させる雨水の危険と、意外な台風の盲点についてお話しします。
建築材料は水ヨワイ
高温多湿で雨による被害も多い日本では、当然家づくりの際には耐水性能にすぐれた資材を使ったり、雨水が入ってこない設計が施されています。それでも、経年劣化によるすき間やひび割れから雨水は内部に侵入し、建物に致命的な被害を もたらします。
マンションなども例外ではありません。コンクリートの外壁に小さなひび割れができているのを見たことがあると思いますが、コンクリート完全硬化に数か月から数年かかるといわれ、乾燥による収縮から、いわば宿命 的亀裂が生じやすいのです。
漏水はひび割れの幅が0.04ミリで 発生し、0.2ミリ以上で100%発生するといわれています。そうしていったん内部に雨水が浸入しはじめると、さぁたいヘん。というのも建物の骨組みや内装材は、雨に対する強さを必要とされないため、雨水にはからきし弱いんです。天井から水が落ちてきたり、壁を伝って流れたりすれば漏水にもすぐ気がつきますが、外壁から内部ヘの漏水は大事に至らないとわからないので注意が必要です。
長雨よりもコワイ台風
雨の心配といえばやはり梅雨の時期の長雨だと思いますが、実は短い間に通り過ぎる台風のほうがコワイ場合があります。なぜなら、台風は強い風の勢いで、雨を上からも横からも、どうにかすると下からも降らせることがあるからです。建物は通常、上から降る雨を想定して設計され、下から吹き込む雨のことまで考えていません。思わぬところから雨水が入ってくる可能性がありますから、台風の通過後は壁や天井などをしっかりチェックしましょう。
雨漏りは火災保険で補償されない
ところでみなさん、雨漏りによる被害は火災保険で補償されないことをご存じでしたか。強風で屋根が飛ばされたとか、床上浸水したなどであれば風害や水害として補償されますが、建物の老朽化など事故性がない場合は補償の対象外。気がつかないうちに大きな被害になることもありますからぜひ定期点検を忘れず、すまいを雨水から守ってください。