【 大家のお仕事 】

[01/09/19]


■大家は家をもってない?

大家さんといえば賃貸物件の所有者で、仕事といえば入居者を決めたり家賃を徴収したりすることでしょうか。江戸時代の大家ももちろん入居希望者を審査し、家賃を集めましたが、大きなちがいは物件のオーナーではないという点。長屋などの土地・建物を所有していたのは地主(家持)で、大家はその管理を任されている家主(家守)という役職者のことだったのです。

 

■とにかく多忙で大変

役職者と書きましたが、実際に町の行政機関の末端に当たる役人で、町の自治管理をはじめ道路の保守管理や防犯防火、水道や井戸の修理、長屋の出入り口の開け閉め、けんかの仲裁、人別帳調査と住民の把握、奉行所から出された布令の伝達など、さまざまな仕事を担っていてとにかく大忙しでした。

それでもお金のある者はなんとか大家になろうと大家株(権利)を手に入れたがりました。株の値段は立地や規模によって50~200両※もしたといわれますが、それでも十分モトがとれるほど大家の❝役得❞は魅力だったようです。

 

■やっぱり儲かる職業

大家には毎月家賃の取り分としておよそ5%が入りました。といっても家賃は現在の価値で1か月1~2万円と格安。これだけではたいした収入になりませんが、入居時の礼金や盆暮れ・節句のつけ届けがふところに入ってきます。

そしてなにより、借家人のし尿を自分のものにすることができました。これを農家に肥料として売るといい稼ぎになったようで、家賃を滞納している借家人でも追い出さなかったというほどです。

なんだかんだで年間50~70両もの収入になる。つまり大家株の代金など1年か2年で取り返せるというわけなのです。

 

■収入と権力が大家の魅力

役得は金銭面だけではありません。通行手形の発行や土地家屋の売買、結婚にも大家の許可が必要なうえ、借家人を監視して不審な点があれば退居させるなど、借家人に対して絶大な権力をもっていたのです。

ただし、借家人が犯罪を犯せば大家は連帯責任で役職を失ってしまうので、厳しい審査や監視は当然といえそうです。

※1両=4~20万円。時代と換算方法によって幅がありますが、江戸後期にかけて価値は下がっていきました。

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